遅筆堂文庫 生活者大学校にて講演する山下惣一さん


山下さんには、遅筆堂文庫生活者大学校の第1回「農業講座」(1988年・昭和63年)に講師で来ていただいて以来32年に渡り、講師として、教頭としてお世話になりました。


年1回開催の生活者大学校は、校長に提唱者の井上ひさしさん、校長のたっての希望で山下さんは教頭に就任。井上校長亡きあとも、教頭として支えていただきました。

農民作家として、農業や農家の問題、食糧の問題に積極的に発言してこられた山下さん。

何といっても現職の農民からの発言は、机上の論理を軽々と飛び越える。土を相手にする、現場の村の論理は力強い。それに加えて、山下流のユーモアと話術で、「生活者」の講師としては最強。井上校長を「口先百姓」と評して、井上校長とともに講座を盛り立てていただきました。

農業から始まった講座ですが、農業から離れたテーマでも、軽妙に農業の問題に絡めて話され、「山下惣一を軸にした農業問題の定点観測」的な位置づけになっていました。

 

最後に来ていただいたのは、第32回「社会における公平とは何か」(2019年)になりました。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年の生活者大学校は中止に。

2021年の計画を進めていたのですが2月に山下さんからFAXで「体調不良により参加できない」旨の連絡をいただきました。新型コロナもあいまってこの年も中止にしました。

 

九州の佐賀県の唐津市から、東北は山形県の川西町まで32年に渡り、遅筆堂文庫生活者大学校の運営にご尽力いただきました。敬意と感謝申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。(遅筆堂文庫 生活者大学校実行委員会)


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