広島原爆の日に寄せて
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今年4月末から、井上ひさし展示室では、7月24日に当館で上演予定の「紙屋町さくらホテル」にあわせ、著作資料展を開催してきました。 残念ながら、上演は諸事情により中止が決定し、観ることは叶いませんでした。
ご存知のとおり、この芝居は広島でたまたま原爆に遭遇し、2週間後に苦しみながら亡くなっていった俳優の園井恵子さんと丸山定夫さんが登場してくる芝居です。
遅筆堂の資料を読みこんでいきますとその壮絶な死がまざまざと浮かび上がってきます。
井上さんは芝居の中では、その壮絶さを一言も語ってはいません。が、故になおさら、二人の芝居に対する想いが無念のままに、突然に断ち切られたことが痛いほど響いてきます。
私は井上さんの、「父と暮せば」に次ぐ、「もう一つのヒロシマ」として企画展示しました。
展示期間は、初め7月24日の上演が終わる7月末日で終了にしようと思ったのですが、広島原爆の8月6日(本日)を過ぎるまでと思い、7日までとしました。
園井さん、丸山さん、そして原爆で亡くなられた方々の御霊が安らかでありますように。
2022年8月6日
(遅筆堂文庫学芸員:遠藤敦子)